KYON展図録。展示した油絵解説

きょんのブログ

誕生月企画「KYON展」無事終了しました。鑑賞にいらしてくれたたくさんのお客様。誠にありがとうございました。来年はさらに腕を磨いた作品をお見せしたい。

絵の展示も終わったということで、今回のブログでは絵の解説を行いたい。解説なんて野暮、絵描きなら絵で説得しろ、ドアホ、と言いたいところではありますが、マキシマムザホルモンのマキシマムザ亮君は、CDアルバムのブックレットで毎回、自身の曲の全解説を行うと試みをしている。私、あれめちゃ好きですねん。だからやらせて💓

それではいってみよう

01 Muraenidae

Muraenidae(ムレーニデイ)と読む。これはウツボの学名でタイトルに特に意味はない。かなり大きいんだけど、今まで描いたうつぼの中でも最も短時間で描いたもの。そのせいか勢いがあっていい。この絵のモデルは、静岡県伊東市のうつぼ料理専門店のマスターから提供してもらった、釣りあげたばかりの生々しいまだ生きてるウツボの写真。このあと締められて捌かれることになる。そういう意味でも瞬間的な表情が活きた絵となったと思う。常連様に買っていただきました。

02 うつぼうつぼうつぼ

これもまたいい加減なタイトルだ。F40キャンバスの大作ということで去年の第80回ハマ展に応募したら入選した作品。色付けが誇張気味だが、実際にいるウツボ。3匹に見えるが実は5匹、同じ筒に入っている。ウツボはわざわざ混んでいる場所に集まる習性があり、人間もまた、わざわざ混雑したお店に入りたがる。不思議なものだ。

03 夏の終わりのハーモニー

タイトルは井上陽水と玉置浩二のあの名曲からパクったもの。二匹のオスが夏の終わりに抱き合う姿はまさにハーモニー。絵をみると、まるでカブトムシの同性愛行為に見えるが、実はカブトムシは触れたものなんでも抱き着く習性があり、特に同性愛行為というわけではない。人間の指に抱き着き生殖器を出してくることもある。この絵は思い切って背景をカットしたのが逆に良かった。

04 鳥貴族

またしても舐め腐ったタイトルで申し訳ないが、これはなかなかド派手な一作。コンゴウインコという南米の熱帯雨林に生息する派手なインコの集合写真を参考に描いた。もともとは鳥かどうかもわからないくらいの極彩色の抽象画にしようと思って描き始めたものだけど、結局鳥の形になってしまった。

05 ワンダフルアオモリ

宗教的絵画・・・ではなく、これは実際に青森県にあるものを一枚の絵にまとめただけのものである。上から「キリストの墓」、青森の観光物産館「アスパム」、恐山にある「三途の川」、そして両脇には青森県産リンゴを持ったアダムとイブ。アダムとイブのモチーフはルネサンス期のイタリアの画家、ティツィアーノの「アダムとイブ」からパクったものである。個人的にはかなり気に入ってる作品。中央の橋にニューワールドオーダーと書いてあるところが都市伝説好き丸出しで実に良い。

06 HIDE

敬愛するギタリストHIDE。個性的なファッションはそのままでも絵になる。ただ、顔を書いているときは楽しかったのだけれど、ギターを描いているときに少し飽きてしまい、後半は少々雑になった。時間ある時に手を加えて直したい。

07 西麻布のウツボ

こちらは、西麻布のドンキホーテの水槽にいたウツボ。麻布で行われていたチームラボの映像作品を見に行くときに発見し、思わず連写した。左のニセゴイシウツボがいい感じにぶら下がってる。右はドクウツボ。種類が違えど共生できるのが、うつぼのかわいらしいところでもある。

08 池袋サンシャイン水族館のだらしないウツボ

池袋サンシャイン水族館に行って、うつぼを発見したもののなかなか岩陰から出てこないので、粘ってようやく出てきたところを写真に収めたもの。しかしまたすぐ岩陰に引っ込むので、だらしないウツボと命名。この絵は他の絵と違い、6色の絵具しか使わない技法で描いたもの。結構気に入ってます。

09 首根っこ掴まれたキジ

風刺画である。意外と知られていないが日本の国鳥はキジ。そのキジがアメリカの背景の前で首根っこ掴まれている……。それは。

10 昔住んでいた部屋

今でこそ、1LDKの広い部屋に引っ越したが、私が厚木に来てからずっと住んでいた部屋がこれ。家賃3万、ユニットバス、収納なし、という学生が住むようなアパートに10年住んだ。とは言ってもこの狭い部屋は、限られたスペースを工夫することと、余計なものを買わないこを教えてくれた。まあ、なんだかんだでいい部屋だった。近隣住人はやばい人が多かったけど。

11 おっさんの飲み会#2

私のYouTubeを見ている人は知ってると思うけど、ご存知クワガタおじさんとその友達である。この構図で一枚描いたところ、画家先生にタッチを変えるようアドバイスされ、もう一枚描くことに。それがこの絵。セザンヌの「カード遊びをする人々」のような雰囲気を出すように指摘され、ゴテゴテに絵具を重ねた絵。

12 依存

これはだいぶ前に描いた絵。左の抽象画はジャイアンとスネ夫を意味している。外部圧力から逃げ場を探し、どらえもんのポケットの中に潜り込む青年。しかし、実際はどらえもんが強引に連れ込んでいるようにも見える。つまり依存とは一方的なものではなく、受け手もまたそれを強く容認することにより成立する関係である、ということを絵にした一枚。メンヘラがいるのはメンヘラを受け入れる存在がいるからである。

13 勝新太郎、座頭市

勝新太郎の木炭画。さすがにモデルがカッコ良すぎるので様になる。わりと木炭画が好きでもっと描きたいんだけど、パンを使って陰影をつけるので、描いた後は部屋の中がパンくずで散らかってしまうのが難点。散らかし放題汚し放題のアトリエが欲しい。

15 UTSUBO unlimited

うつぼもさすがにここまで密集すると地獄絵図である。これは愛知県の竹島水族館というぶっ飛んだ水族館で実際に見ることができる光景。水槽の底の砂の凸凹は、コーヒーかすをはりつけたもの。絵具以外の素材を貼り付けて立体感を出すミクストメディアという手法。

16 連れて行かれる牛

愛川町にある服部牧場で車にむりやり乗せられる牛を偶然見かけた時の絵。以前のブログでも紹介した作品で、これは大和市で行われた第23回大和展で市長賞を取った。賞とは不思議なもので、一度取ると、賞を取るぐらいの人と思われ、過大評価が先走りする。それはあまり本意ではない。受賞するための絵を描き始めるとおかしくなる。嬉しいことは嬉しいんだけど。

まとめ

我ながらいろいろ描いてきたものだと思う。私自身は本来、こういった西洋画より、どちらかというと漫画絵やイラストのほうが得意だ。学生時代から、絵は人より描けるほうではあったので、特技の延長線上で大人になってから始めたのが油絵である。歴はせいぜい5〜6年。

油絵は難しい。まず狙い通りに行くことはないし、描き足そうと思えば思うほど絵が逃げていく。単に色の集合体として描くだけでなくリズムや勢いも大事で、描き手が途中で飽きると、その感情も絵に出てしまう。

なので、閲覧者の素人玄人問わず、やはり評価を受けるのは不思議と短時間で描いた絵。牛やカブトムシやうつぼは比較的短時間で仕上げている。そこにある集中力、鮮度、エネルギーはどうやっても現れてしまうのだろう。名画と呼ばれる絵には共通してある種のエネルギーがある。でかい! 強い! 濃い! エロい! 可愛い! かっこいい! グロい! キモい! 面白い! そんな、エネルギーが感じられる絵が描きたい。

今やAIが一瞬で絵を描いてしまう時代だ。あれを見たら、何時間もかけて絵を描くなんて馬鹿馬鹿しくてやってられなくなる。

ときどき、絵なんか描くことに意味があるのだろうか? と思うこともある。

でもその答えは結局、手を動かし続けることでしか得ることはできないんだろうなあ。

才能とは多作である。と誰かが言った。

ピカソの作品の総数は8万点に及ぶ。

クロード・モネの睡蓮は、実は200枚もある。

まあ、そういうことですよ。描いて描いて描きまくった先に、駄作の山の中から輝く一枚が出てくる。そんな世界。最高に面白いじゃないか。だから描くしかない。

絵を買っていただいた方。絵の感想を述べてくれた方。心からお礼申し上げます。

まだまだ描くぞ